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経営参画の権利ないがしろ 際立つ「鈍感さ」―議決権誤集計 - 時事通信ニュース

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2020年09月25日07時11分

記者会見する三井住友信託銀行の西田豊専務(左)と海原淳専務=24日午後、東京都千代田区の同行本店

記者会見する三井住友信託銀行の西田豊専務(左)と海原淳専務=24日午後、東京都千代田区の同行本店

 信託銀行大手の三井住友信託銀行とみずほ信託銀行で発覚した、株主総会における議決権行使書の誤集計は、経営に参画するという株主の権利をないがしろにする重大な問題だ。事務効率を優先した結果で、時代の変化に対する「鈍感さ」が際立つ。

1300社超で議決権誤集計 過去20年放置か―三井住友信託・みずほ信託

 株主は、合併などの重大な経営判断や取締役人事などを承認する株主総会で賛成か反対の意思を表明する議決権を行使できる。
 株主総会の運営事務に関わる信託銀行には膨大な数の議決権行使書が届く。少しでも余裕を持って処理するため、日本郵便から本来配達される日の前日に前倒しで届けてもらう「先付処理」を長年行う一方、この処理で総会前日に届いた行使書を集計しないという過ちを犯していた。
 対象は上場企業1300社超に上り、海外の機関投資家による指摘がなければ不適切な慣行がこの先も放置されていた可能性が高い。
 24日に記者会見した三井住友信託銀の西田豊専務は「繁忙月は議決権行使書が大量に届くため、正確かつ円滑に処理する必要があった」と弁明。一方で、法的チェックに甘さがあったことは認めざるを得なかった。
 金融庁は2010年、企業に対して議案ごとに株主による議決権行使(投票)結果を明らかにするよう法制度を整備。17年には生命保険会社や運用会社などの機関投資家に対しても議案ごとに議決権行使の理由を開示するよう求めている。株主の権利保護を通じて企業統治の向上を目指す時代の流れは鮮明だ。
 西田専務は「時代の変化に対応していこうと取り組んできている」と強調したが、2社の意識は「昭和の仕組み」(有識者)のままだった。
 議決権行使の8割は紙による郵送といい、両信託銀は、インターネット経由の電子行使を促す取り組みを強化する方針だ。企業法務に詳しい弁護士は「少なくとも10年前くらいには従来の慣行を見直すべきだった」と指摘しており、遅過ぎた感は否めない。

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