内閣府が16日発表した2020年7~9月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で4~6月期から5.0%、年率換算で21.4%増えた。新型コロナウイルス禍で年率28.8%減と戦後最大の落ち込みだった4~6月期から4期ぶりのプラス成長だがコロナ前の水準は遠い。
前期比の増加率は1968年10~12月期以来、約52年ぶりの大きさ。統計を遡れる55年以降で4番目となる。大幅なプラスとはいえ政府の緊急事態宣言などで経済活動が滞った4~6月期の落ち込みの半分強を回復したにすぎない。年換算の金額は507.6兆円と、コロナ前のピークだった2019年7~9月期の94%の水準にとどまる。
GDPの過半を占める個人消費が前期比4.7%増えた。8.1%減った4~6月期の反動で、自動車などの耐久財や飲食や旅行といったサービス消費が上向いた。
輸出は7.0%増と前期の17.4%減から持ち直した。自動車関連などの回復が目立つ。
設備投資は3.4%減と減少に歯止めがかからない。業績悪化や先行きの不透明感から企業の投資意欲は低いままだ。
10~12月期のGDPは回復ペースが鈍るとの見方が多い。国内外の感染の再拡大が影を落とす。内閣府幹部は「基本的なシナリオとしては持ち直しの動きが続くが不透明感はある」と述べた。
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