【イスタンブール=木寺もも子、ドバイ=福冨隼太郎】ロシアのプーチン大統領は19日、イランの首都テヘランで同国のライシ大統領、トルコのエルドアン大統領と会談した。エルドアン氏とはウクライナの穀物輸出を巡って協議し、今月13日にトルコで開かれたウクライナなどとの直接交渉の進展に「満足している」と述べた。
3首脳はシリア内戦の解決に向けた協議の枠組みで集まった。プーチン氏にとって2月に始めたウクライナ侵攻後、旧ソ連圏以外への外遊は初めて。プーチン氏は終了後の記者会見などで3首脳会談の重要性を強調し、次回はロシアで開催する考えを示した。
プーチン氏はイラン、トルコそれぞれの首脳とも個別に会談した。プーチン氏はイランとの2国間貿易で米ドルなどの国際通貨に代わり、ロシアのルーブル、イランのリアルを決済に使う案について協議したと明らかにした。
また、イランメディアによるとイラン国営石油会社とロシア国営のガスプロムは19日、約400億ドル(約5兆5千億円)規模のエネルギー協力で合意した。イランで計画されるガス田や油田の開発支援などが含まれる見通しだ。
プーチン氏はエルドアン氏との会談について「食料安全保障の問題と、ロシアとウクライナの両方の穀物の世界市場への供給を促進するための協力についても議論された」と述べた。ウクライナの穀物は、ロシアが制海権を握る黒海北岸からのルートが遮断されたことで輸出が滞る。国連とトルコが仲介して黒海に穀物船用の「回廊」を設ける方向で交渉が進んでいる。
ロシア・イランとトルコが立場を異にするシリア内戦を巡っては、シリア各勢力に対話を促して新憲法制定に向けて協力することで一致した。エルドアン氏はシリア北部に拠点を持つクルド系武装勢力を掃討する必要があると繰り返し、越境軍事作戦への理解を求めた。
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