ロシアと中国、それに南アフリカの3か国は22日、合同軍事演習を開始し、ロシアはウクライナ侵攻をめぐり欧米と対立を深める中、友好国との結束をアピールするねらいもあるとみられます。
ロシア国防省は22日、南アフリカで、中国と南アフリカとの海軍の合同軍事演習を開始したと発表しました。
ロシア軍からは先月、実戦配備されたばかりの海上発射型極超音速ミサイル「ツィルコン」を搭載したフリゲート艦も参加し、25日から27日にかけてダーバン沖のインド洋での演習に加わる予定です。
「ツィルコン」は核弾頭も搭載でき、音速の9倍の速さで変則的に飛行するため迎撃が極めて難しいミサイルとされています。
ロシアは、欧米との対立を深める中、中国、南アフリカ、それにブラジルとインドが参加するBRICS=新興5か国の枠組みを重視しています。
ウクライナへの軍事侵攻から1年と重なるタイミングで中国や南アフリカとの合同演習を行うことで軍事力を誇示し、友好国との結束をアピールするねらいがあるものとみられます。
一方、南アフリカは、これまでロシアのウクライナ侵攻については中立の立場だとしてきましたが、野党勢力などからは「軍事演習を行うことで政府はロシア寄りの立場を鮮明にした」との批判が出ています。
南アフリカの思惑は? 国内外から批判が噴出
これについてアフリカ諸国の外交や国際関係論が専門の南アフリカの研究者リーザ・ジェーンバーグ博士は、欧米諸国との関係に影響を与えかねないと指摘しています。
ジェーンバーグ博士によりますと、南アフリカの現政権にはアパルトヘイト=人種隔離政策の撤廃運動を行っていた当時、ソビエトから手厚い支援を受けた歴史もあることからロシアに同情的な傾向があるということです。
また、あえて欧米に同調しない姿勢を見せることでアフリカを代表する国としての存在感を示そうという思惑もあるとみられるとしています。
ただ、このタイミングでロシアや中国と軍事演習を行うことのインパクトは強く、「今回の演習によって、最大の貿易相手でもある欧米諸国の信頼や友情を失う危険性もある」と指摘しています。
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