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米下院議長の台湾訪問案、政府に慎重論 阻止へ中国強硬(写真=共同) - 日本経済新聞

【ワシントン=坂口幸裕】ペロシ米下院議長が8月に計画する台湾訪問をめぐり、米政府内で慎重論が出ている。中国は実行に移せば「強力な措置」をとると警告し、米軍は台湾海峡の軍事緊張を高めかねないと懸念する。脅しに屈して中止すれば中国の増長につながるおそれもあり、バイデン政権はジレンマに陥っている。

英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)がペロシ氏の訪台計画を報じたのは18日。即座に反応した中国外務省の趙立堅副報道局長は19日の記者会見で訪台すれば「中国は必ず強力な措置をとり、国家主権や領土の一体性を守る」と明言し、中止を迫った。

FTによると、中国は米国に対し水面下でこれまでより強い態度で反対の意向を伝達してきた。複数の関係者の話として「軍事的対応の可能性を示唆するなど踏み込んだものだった」とも伝えた。中国軍がペロシ氏の台湾上陸を阻止するために妨害行動をとる可能性があるという。

バイデン米大統領は20日、記者団にペロシ氏の訪台について「米軍はいい考えだと思っていない」と表明した。公の場で計画を認めたことで政権内の足並みの乱れが露呈し、予想された中国の激しい反発を招いた面がある。

ペロシ氏は21日の記者会見で、自身の訪台について警備上の問題を理由にコメントを避けつつ「台湾への支持を示すのが重要だ」と明言した。「バイデン氏は我々が搭乗する飛行機が中国に撃墜されるのをおそれたのだろう」と話した。

現職の米下院議長の訪台が実現すれば1997年以来だ。米国では副大統領に次ぐ大統領継承順位2位の要職で、バイデン政権として台湾への強い支持が明確になる。

中国では秋に共産党幹部の人事を決める5年に1度の共産党大会を控え、習近平(シー・ジンピン)総書記(国家主席)は党大会での3期目の政権発足に向けて体制固めを進める。8月から長老らの意見を聞く「北戴河会議」が始まる見通しで、党の重要人事の調整が山場を迎える。

米政府内の慎重論は、こうした中国の政治日程とペロシ氏の台湾訪問の時期が重なれば、習指導部が強硬姿勢に出ざるを得ないと懸念しているためとみられる。

AP通信によると、インドネシアを訪れている米軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長は24日「中国軍は過去5年間で著しく攻撃的で危険になった」と述べた。中国は軍用機による台湾の防空識別圏(ADIZ)への侵入を執拗に繰り返しており、示威行動が増幅しかねない。

米中は月内に首脳協議を実施する予定だ。首脳に先立つ閣僚などの高官協議でも両国の対立が偶発的な衝突に発展しないよう対話を維持すべきだとの認識で一致した。米側は中国製品への制裁関税の一部引き下げ案を検討。いまは国内の安定を最重視する習指導部にとっても、緊張緩和を探っている矢先にペロシ氏の訪台案が浮上した。

仮に中国の反対で訪台計画が中止になれば野党などから「弱腰」などの批判が出るのは必至だ。

共和党のギングリッジ元下院議長はツイッターで「中国共産党の脅しで米国の下院議長さえ守れなければ、中国はどうして米国が台湾を守ると信じるのか」と指摘した。対応を誤れば、中国が台湾で強硬な態度を強めると警鐘を鳴らした。

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