全日空(ANA)を傘下に置くANAホールディングスは、2021年3月期の連結最終損益が5,000億円程度の赤字になる見込みと報道各社が伝えています。ANAの国際線旅客数は、4月から8月までの実績で前年比96.3%減と大幅減が続いています。こうした状況から、長距離国際線の機材を大幅に削減する見通しです。
共同通信によると、国際線の長距離路線で使用する25機から30機を削減する方針を固めている模様です。大幅な経営方針の変更を近く発表する予定で、ANAがこれまで国際線の拡充・拡大してきた方向を転換し、コロナ禍の状況で生き残りの計画を打ち出すとみられます。資本の増強策として、4,000億円の劣後ローン、2,000億円規模の公募増資についても伝えられています。
ANAが保有する大型機は、ホノルル線に投入するエアバスA380が2機をはじめ、ボーイング777-300が35機、787が74機で、787-8と787-9が36機ずつ、787-10は2機です。このほか777-200が19機、767-300が32機も保有しています。
ANAは2020年4月に発表した2020年3月期決算で、2020年度の退役機材は777-200の1機、767-300旅客機と767-300BCFを1機ずつ、737-700を3機、737-500を3機の計9機としていました。新たな計画で、この9機に加え、大幅に機材数を削減し、キャッシュ流出を防ぐ施策を打ち出すとみられます。
なお、4月から8月までの実績は、国際線旅客数が5月に97.1%減と最低を記録し、期間中は96.3%減となっています。国内線旅客数は5月の前年比95.5%減を最低に、7月が75.6%減、8月が76.3%減と、過去に例を見ない低水準が続いています。貨物も、貨物専用機をフル活用しているものの、旅客機の減便が影響し、国際線が貨物重量で47.3%減、国内線が60.3%減となっています。いずれも売上高に影響してくると見られます。
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